私は飛行機やホテルをぜんぶ自分で手配して好きなように予定を組み、思い通りの旅を楽しむのも好きです。一人旅もするし、パリから地方都市へTGVで移動したり、別の国へ寝台列車で行ったりしたこともあります。ですが、なぜ私がヨーロッパ方面では10回以上もパッケージツアー(パックツアー)を選んできたのか。それは、個人旅行ならではの小さな不便や不安を面倒に思うこともあるから。そのときの私の余裕や同行者によっては、ツアーがいいと判断することも多いのです。ここでは、これまでの個人旅行で経験した小さな不便や不安と、パッケージツアーならそれがどう違うのかをまとめました。
安全・快適にまわる手配は大変
ある旅では、パリとリヨンとアヌシーの3カ所に泊まりました。ずっと行ってみたかった街で、パッケージツアーがあれば参加しましたが、そんな都合のよい私好みのツアーはありませんでした。
まず、鉄道でのまわり方で悩みました。私は乗り継ぎや乗り換えをできるだけ避けたい性分なので、リヨンとアヌシーの間が乗り換えなしで行けることを調べ、まず先にパリからアヌシーへ直通で行くことにしました。アヌシーに滞在した後、パリとの間にあるリヨンに寄って、そこからパリに戻る。この順番にたどり着くまでに、何度もルートを見比べて確認しました。
列車はヨーロッパの鉄道の手配を専門にしている会社に依頼。何度も問い合わせをして、必ず座れる指定席(一等座席)を確保。さらに、荷物を自分の席のそばに置けるのかどうかをかなりしつこく確認しました。荷物を目の届かないところに置くのがどうしても嫌だったからです。
ホテルは3都市分をそれぞれ探しました。何度か行っているパリでは泊まりたいホテルがあったので迷いませんでしたが、リヨンとアヌシーは一から調べ始めて立地と価格の兼ね合いを検討して決定。予約サイトとホテル直営サイトから申し込みました。
ホテルには出発の一週間ほど前にリコンファームして必ず再確認。予約が入っているはずでも、海外まで行って部屋がないと言われたら、その時点でへこたれてしまうのは必至です。連絡して返事をもらって、そこでようやく安心する。これが3軒分発生します。
下調べは旅の楽しみではあるのですが、調査と手続きをきちんとやりこなさなければという気持ちが多少のストレスになったのは事実です。先に断っておくと、これは私が慎重すぎるだけかもしれません。ホテルをさっと決めて、確認の連絡なんてしないという人もたくさんいると思います。あのときの旅そのものは楽しかったし、列車に乗っている時間も好きでした。ただ、あの頃は若かった。同じことを今もう一度するのはちょっと嫌です。
パッケージツアーなら、移動もホテルも旅行会社が手配してくれていて、リコンファームの必要はもちろんありません。万が一のミスなどがあっても頼れる添乗員さんがいます。

慣れていない鉄道での妙な不安
パリからフランス南東部のアヌシーへ向かうTGV(フランス国鉄の高速鉄道)に乗り込んで、自分の席まで来たら、そこには知らない人が座っていました。こんなトラブルを防ぎたくて、専門の会社に何度も聞いて、高価な席を取ったのに、それでもこんなことがあるのです。
券には座席番号が印字されています。何度も確かめました。番号は合っています。それでも先客がいる。声をかけて退いてもらうべきなのか、それとも自分が間違っているのか、その場では判断がつきませんでした。問いただすようなことをしてトラブルになりたくないという妙な自制が働き、とりあえず空いている席に座って発車を待ちました。
落ち着かなかったのは、鉄道のルールに違反してしまうと高額な罰金を取られることがあるという話を出発前に読んでいたからです。もし私が予約していない席に座っていることを乗務員さんに咎められたらどうしようと気になって仕方がありませんでした。
次の駅で人が乗ってきたときに、様子を見ていました。誰も券を確かめていません。車内を見回して、空いているところにぽんと座っていく。番号を見ながら席を探して歩いている人がいない。それを見て、たぶん思い思いに座っているのだなと理解しました。空席もかなりあったので、誰にも迷惑はかけていなさそうだと判断し、結局そのまま終点のアヌシーまで乗りました。
正解がわかったわけではありませんでした。決まりと実際とのずれを教えてくれる人がおらず、自分で判断するしかないのが個人旅行です。不安をかかえたままの道中でした。当時のTGVでは空いている席に座るのは珍しくなかったようだと知ったのは、日本に帰ってきて調べてからのことです。パッケージツアーなら添乗員さんがフォローしてくれますし、わからなければ質問できます。
小さな駅で降りて移動手段に困った経験
別の旅で、ジアンという小さな町に行ったことがあります。
小さな駅に降りて、まずタクシーを探しました。一台もいません。駅員さんに聞こうと思って窓口へ行くと、カーテンが下ろされていて、呼んでも何の反応もありませんでした。停まる列車の本数が少ないので、いつも窓口対応をしているわけではなさそうです。
決してにぎやかとはいえない駅前を見渡すと、レストランらしき建物が見えたので、そこまで歩いて聞いてみようかと迷いながら、駅前をうろうろしていました。するとたまたまタクシーが一台やってきたので、これ幸いと乗り込みました。目的地へ着いて、帰りのタクシーがつかまるかが不安で、またお願いしたいと頼み、その運転手さんには往復でお世話になりました。
このときはたまたま助かりましたが、自分で何かを解決したわけではありません。タクシーが来なかったらどうしていたのか、今でもわかりません。パッケージツアーでの観光なら、小さな村や町へもバスで連れて行ってもらえるので、移動手段を自分で探す必要がありません。
乗り継ぎのトラブルに対処する自信がない
個人手配の一人旅や母との旅で、私は乗り継ぎのある航空券を選んだことがありません。乗り継ぎには、前の便が遅れて次の便に間に合わないのではないか、乗り継ぎ時間が短いときに次のゲートをスムーズに探せるかといった心配がつきまといます。そうなったときに一人で対処して、元気に旅を続けられる自信がないのです。だから一人のときや母と行くときは、「直行便のある都市」という前提で計画してきました。
でも、パッケージツアーなら、直行便が飛んでいない国にも行きます。添乗員さんがいて、何か起きてもフォローがあるとわかっていて、安心だからです。
乗り継ぎのある行程では、飛行機を降りたところで添乗員さんがまず全員の顔を確認します。一人ずつに付き添うわけではありませんが、そこから次のゲートまでの案内をしてくれます。空港の中なので自分でも歩けますが、勘違いの大失敗をしにくくなります。
一番ありがたいのは、荷物を乗り継ぎ空港で受け取るのかそのまま預けたままにするのかの判断です。調べると情報が割れるので、自分一人だと不安。でも旅行会社に聞けば確実な答えがあります。

荷物が出てこなかったらパニクりそう
飛行機に預けたスーツケースが、空港の手荷物受取所のターンテーブルに乗って出てこなかった経験は私にはありません。ただ、ロストバゲージは快適な旅行を確実に妨げるので、私の中では旅行で警戒することのトップクラスです。直行便なら乗り継ぎ地での積み替えがないので確率は下がりますが、ゼロにはなりません。
ロストバゲージの手続きがどういうものかを語れませんが、添乗員さんは場数を踏んでいます。荷物が出てこなかったら、一生に一度あるかないかの手続きを、飛行機を降りたばかりの疲れた体で異国のカウンターでやることになります。慣れた添乗員さんがそばにいて手助けしてもらえると思えば、ぐんと気が楽です。

同行者のフォローもひと苦労
ここまで書いたことと少し違う軸もあります。それは、同行者が誰かということです。調べる、決める、現地で判断する、ときには現地で交渉する。これらが個人手配では必ず発生しますが、私より旅慣れている人や語学に強い人と行くなら心細くないので、パッケージツアーでなくても不安はありません。
でも、同行者が「英語が苦手だし、ホテルや電車も調べられないからお願い」という人だったり、母のように私が面倒を見る側になったりする場合は、すべての手間を2分割できず、私が引き受ける部分が大きくなります。調べて手配するからには責任も感じてしまいます。ならばパッケージツアーにしようと思ってしまうのです。ちなみに母とは個人手配の旅もしますが、それは何度も行った慣れた街に滞在するときだけです。
個人手配の旅行では、何か起きても助けてくれる人がいつもそばにいるわけではないので、基本的には自分たちで対応しなくてはなりません。予想外のことに一人で対処できる自信や気力があるかどうかが、個人手配とパッケージツアーのどちらを選ぶかの大きな分かれ目です。移動が複雑な旅や乗り継ぎ便の旅などは、予定どおりにいかない可能性やアクシデントの確率も高くなりがちなのは事実。そのときに自分で対応するのが大変そうだなと感じるときは、安心感のあるパッケージツアーを選ぶというのが私の基準です。


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