10回以上参加してわかったパッケージツアー選びの落としどころ

旅好きな人と話していると、特に一人旅派の人から、パッケージツアー(パックツアー)がちょっぴり格下に見られていると感じることがあります。「個人手配の方が旅の醍醐味を味わえる」「ツアーは団体行動で自由がない」「なんだか初心者っぽい」。そんな声もよく聞きます。

けれど、これまでイタリア各都市やフランスの小さな町などヨーロッパを中心に10回以上パッケージツアーで旅をしてきた身としては、それは半分正解で、半分は誤解だと思っています。個人手配や一人旅なども経験したうえで思うのは、パッケージツアーには、パッケージツアーにしかない価値がたくさんあるということです。今日は、私が考えているパッケージツアーのよさと、ツアーを選ぶときに本当に見るべきポイントについて書いてみます。

パッケージツアーの価値は「周遊」にある

移動の安心感

私がここで語るパッケージツアーとは、エア(飛行機)+現地での移動や観光+ホテルがセットになったツアーのことです。このパッケージツアーが一番力を発揮するのは、複数の都市をいろいろ巡るときです。

街から街へ、ときには国から国へ。移動はすべて、言葉が通じる日本人が乗ったバスという守られた空間で。添乗員さんも一緒です。

何か予定外のことやアクシデント、たとえば現地の列車が急に止まったり大幅に遅れてしまったりというようなトラブルが起きたら、少なくとも私ならなす術がなく焦ってしまいます。今日はどこに泊まればいいの?と泣きそうになるでしょう。

パッケージツアーなら、代替手段を用意してくれるかリスケジュールしてくれるかはわかりませんが、少なくとも一人で野ざらしにされたり放り出されたりする心配はありません。それを考えれば、パッケージツアーの移動の安心感は、思っている以上に旅の不安や緊張感を減らしてくれます。

実際、完全な個人手配でパリに滞在していたとき、劇場を標的にした有名な事件が起こった経験が私にはあります。街にはアーミーが多数出ていてものものしい雰囲気。翌日予定していた現地発着の日帰りツアーは催行中止になりました。どう動けばいいのか、現地の状況がどうなっているのか、持っていったパソコンで必死に調べるしかありませんでした。もし添乗員同行のツアーだったら、少なくとも一律の案内はあったはずです。個人手配の自由さと引き換えに、こういう場面での心細さがあることは、身をもって知りました。

下調べと手配が断然ラク

そしてもう一つの大きなメリットは、都市間移動の飛行機、電車の乗り換えや切符の買い方をいちいち調べなくていいことです。

個人手配なら、行き先ごとに路線を調べ、時刻表を確認し、現地の券売機や改札の仕組みまで把握しておく必要がありますが、パッケージツアーならそれをまるごと手放せます。断然ラクなのです。もちろん、準備も含めて旅の楽しさという人には個人手配が向いていますが、私は複数の移動ぜんぶを調べる時間や手間も惜しく、不安でもあるので、たくさんの都市をまわるときはパッケージツアーがファーストチョイスです。

「滞在型」のパッケージツアーもある

パッケージツアー礼賛派の私ですが、1〜2都市にじっくり腰を据えて、街をたっぷり楽しみたい、あるいはその街を拠点にどこかへ日帰りで出かけて戻ってくるという旅の仕方をしたいなら、エア+ホテルだけのシンプルなツアーや、完全な個人手配の方を選ぶことが多いです。特に、何度も行ったパリはそのパターン。街そのものに見どころが多いうえに、日本人観光客が多いパリには近隣への1日ツアーも充実しているので、何日あっても足りません。

とはいえ、1都市滞在のときもパッケージツアーを利用した経験もあります。そのプランは、現地には一人で行き、現地空港に着いてからバスに乗るときに参加者が初めて集合し、そこからの移動や観光スポットにはガイドさんが同行してくれるというものでした。滞在ホテルはずっと同じで、ガイドさんはホテルには泊まらずご自宅へ戻ります。毎日同じホテルから近隣の都市へ参加者の皆さんとバスでまわってホテルに戻り、完全自由行動のフリー日も設定されていました。

添乗員さんがついていない分、価格が安く、移動の安心感があり、手配の手間いらず。そのツアーは私のお気に入りで、3回参加したほどです。

計画している旅が、「周遊」か「滞在」か。まずここが、ツアー選びの最初の分かれ道だと思います。

「安い」と「激安」は似ているようで全く違う

パッケージツアーを探すとき、よほどお金に余裕がなければ、多くの人はまず値段で検索してしまいます。私自身もそうです。ただ、ひとつだけ強くお伝えしたいのは、とことん安いツアーはどうして安いのかを考えてほしい、ということです。

少し話がそれますが、フェイクレザーのバッグを思い浮かべてみてください。今はフェイクレザーそのものもとても上質で、機能性に優れたものがたくさんあります。フェイクレザー=安っぽいというわけではありません。

ただ、世の中に出回っている「安いフェイクレザーのバッグ」の多くは、価格を抑えるために、フェイクレザーが選ばれています。縫製はもちろん、糸やステッチ、補強といった細部まで安く仕上げる方法が駆使されています。その結果、全体的にどこか安っぽく見えてしまう。もし仮に、高級メゾンが「このフェイクレザーは素敵だ」とあえて選んだなら、決して安っぽく見えない、素敵なバッグに仕上がるはずです。

安さのしわ寄せはどこにくる?

パッケージツアーもこれと同じだと思っています。価格を切り詰めるために切り詰められたツアーは、

  • 不便な空港・不便な時間帯での乗り継ぎ
  • 長い待ち時間
  • 街の中心から遠くて不便な立地のホテルばかり
  • 観光地が列記されていても実際は車窓観光が多い
  • 大人数(30~40人)で動く

といった形で、そのしわ寄せがまるごと参加者のストレスとして返ってきます。どれもこれも当てはまると、激安に近づく反面、不便やストレスの要素が増えます。かといってすべてを避けたツアーは高額になります。

とにかく価格が最優先の人は激安ツアーを、それ以外の人はどの不便さなら許容できるかを判断し、自分にとってリーズナブルなツアーを選ぶのがおすすめです。

たとえば人数とツアー単価の関係

たとえば、人数が多いと、ツアー単価を下げられます。添乗員さん、バスや運転手さんにかかる費用の“ワリカン分”が減るからです。代わりにゆとりを差し出します。

私自身、エアライン系のリーズナブルなツアーで、イタリア4都市をまわったことがあります。コストパフォーマンスがよかったのですが、それは最大40人まで受け入れる大人数設定というのも大きな要因だったようです。合宿のような雰囲気で、トイレ休憩だけで数十分。ヨーロッパの小さなホテルはエレベーターも小さいので、朝の集合時間もどうしても遅れがちに。添乗員さんが時間通りに進めようと必死になっているのが、こちらにも伝わってくるほどでした。

私は特にツアーそのものへの不満は感じなかったし、ここまでいろいろ盛り込まれていてこの価格ならよくできていると評価していましたが、時間に追われるような感覚に不満を持った人はいたかもしれません。

対して、同じくイタリアを巡る15人ほどのツアーは驚くほどゆとりがありました。バスの座席も自由に選べて、二人がけの席を一人で使えるほどでした。

冬の安さは性質が違う

少し性質が違う安さもあります。冬のオフシーズンだから安いというのがそれです。寒さや雪さえ我慢できるなら、これは狙い目の「賢い安さ」だと思っていて、私は何度も、直行便でホテルも悪くないレベルのツアーで冬のヨーロッパを訪れています(このあたりはまた別の記事で詳しく書きます)。

添乗員から聞いた激安ツアーの実情

これは実際に添乗員さんから聞いた話です。私はエアライン系のツアーや底値ではない程度のリーズナブルなツアーで何度も出かけていますが、旅先では激安ツアーで有名な会社のツアー参加者と観光地やお店でしばしば鉢合わせします。私はその方面に行くツアーを調べ尽くしているので、「ああ、あのツアーの団体さんだな」とわかります。添乗員さん同士は、現地でちょっとした世間話をするようです。

そこで知るのが、あちらのツアーが泊まっているホテルです。「私たちは街中のホテルだけど、あちらのツアーは郊外の不便なホテル」という話でした。また、同じ観光地には行くけれど、実は目玉のメインのスポットは見れないなどもよく聞きました。激安には、激安なりの理由がある。これらのことは実際に旅を重ねてきて、何度も実感してきたことです。

結局のところ、パッケージツアーを選ぶときに見るべきなのは、値段だけではなく、「その値段が、何を削ってできあがっているのか」を考えるのが大切です。乗り継ぎの時間帯、ホテルの立地、他社と比べて極端に安すぎる理由はなにか。そのあたりを少し想像してみるだけで、「安かろう悪かろう」を避けながら、パッケージツアーならではの安心感と効率のよさを、気持ちよく楽しめるはずです。

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