ヨーロッパのパッケージツアー(パックツアー)に参加すると、移動の大半は貸切バスです。朝ホテルを出てバスに乗り、近場の観光地をまわったり、数時間走って次の街へ向かったり。途中で下車して観光しつつ、また乗って、夜はホテルに入る。これが日程の分だけ繰り返されるので、車内で過ごす時間は思いのほか長くなります。初めてのツアー参加だと、何時間もバスに乗って何をするのか、トイレはどうするのか、どういう流れになるのか、想像できないかもしれません。この記事では、バス移動の一日がどんなふうに進むかを紹介しつつ、用意しておくと便利なものや快適に過ごすための小さなコツなどを私の経験からお伝えします。
バス移動の雰囲気はこんな感じです
めいめいにバスに乗り込む
朝や観光後の集合時間が近づくと、運転手さんが先にバスに乗り込んでドアを開けておいてくれます。参加者はめいめいに乗り込んで行き、最初はわやわやしています。これまで参加したツアーでは、座席は決められておらず、自由でした。「前ばかり、後ろばかりでなく、適度に変わってくださいね」のような案内をされることもありますが、満席でない限り、だいたい好みのエリアに座れます。座席に関するもめごとを特に見聞きしたことはありません。
一人で参加しても、基本的に相席にはなりません。参加人数が座席数と同じくらい多くて一人参加の人が複数いれば、計算のうえでは隣同士になる可能性はありますが、私が参加したツアーではそういう場面を見たことがありません。二人参加のときも、バスの座席を2で割ったよりも少ない参加人数なら、理論的には一人で2席、遠慮なく使えます。ですが、6~7割以上の参加人数のときは、同行者同士の二人一組で座ります。(こういうときに同行者と別々に一人2席を使う勇気はないです)
にぎやか→静か→にぎやかの繰り返し
添乗員さんが車内の人数を数え、全員がそろったのを確認しつつ、朝は「忘れ物はないですか、パスポートとお財布は持っていますか~」のように声をかけてくれます。するとみんなが服の中やバッグを確かめる。これが乗車したときの雰囲気です。
ホテルを出てしばらくは、添乗員さんがマイクを持って、今日の予定や次に向かう街のことを話します。街を出て高速に入ると、窓の外は農地や山ばかりになり、のどかで退屈な道が続きます。たいていみんな寝ていて、添乗員さんのアナウンスもそのあいだはだいたいお休みです。
次の街に入る手前になると建物が増えてきて、起きてくる人が出てきます。添乗員さんのアナウンスが再開します。どの街に入ったのか、これからどこを通ってどこにバスを停めるのか、そのあと昼食がどうなるのか。そこでバスを降りて観光をし、また乗って次の街へ向かいます。降車してたくさん歩いた後の車内は乗り込んですぐに寝る人も多いです。
トイレ休憩はきちんとある
長い移動の途中には、必ずトイレ休憩が設けられています。朝出発してからずっと降りられないということはありません。高速道路の普通のサービスエリアのほか、土産物屋に寄ります。30年以上前にツアーでイタリアを訪れたときと比べると、イタリアでは後者が増えたように思います。土産物屋では片言の日本語が通じる店員さんが多く、アジア系の従業員さんをよく見かけます。売られているものは割高な傾向です。サービスエリアやお土産物屋さん以外には、観光地やレストランでもトイレに行く機会があります。
サービスエリアのバールのようなカフェのようなコーナーでは、運転手さんが飲み物を飲んでいる姿をよく見かけます。運転手さんは私たちと同じレストランで食事もするので、自然に顔見知りになります。参加者の中には、おはようやありがとうの挨拶を交わすだけでなく、現地の簡単な言葉を教えてもらったりと、コミュニケーションを楽しむ人もいます。ツアーの最初から最後までを同じ運転手さんがついてくれることもあれば、ツアーの途中で交代することもあります。
私の過ごし方と小さなコツ
トイレはホテルを出る前に済ませておく
トイレが付いたバスも多いですが、基本的には緊急時以外は使わないでほしいと案内されます。「トイレ付きのバスで行く!」と明記されているツアーならもっと自由に使ってもよい可能性はあります。私はもともとバスのトイレはあてにせず乗っているし、周りの参加者もたぶんそうでした。バスのトイレを使いたいと申し出ている人をこれまでに見たことはありません。
ただ、トイレが近くて心配な人は、ホテルの部屋を出る前に済ませるのはもちろん、ロビーにトイレがあれば、バスに乗る直前にそこでもう一度済ませておくと、より安心です。そのあとは休憩や食事のたびにトイレに行けます。
バスに乗る前に貴重品の確認
乗ってすぐに添乗員さんが忘れ物はないかの声をかけてくれます。そのタイミングで「ない」とバタバタする人は時々います。その人が部屋に取りに戻ったかまでは覚えていませんが、その間バスは発車できません。たかが10分や15分ほどかもしれませんが、そのせいで渋滞にかかったりしてしまうと、その日のスケジュールが押してしまうことになります。
座席に座ってから忘れ物に気づくと遅いので、パスポートと財布は部屋を出る前とバスに乗る前に、服の中やバッグの中を確認しておきましょう。
座席は中央のドアより後ろを取る
大型の観光バスには、前と中央の二か所にドアがあります。私は中央のドアより後ろ寄りの席を取る習慣です。なぜかと言うと、そのほうがバスに誰もいないときの荷物が安全そうだと想像しているからです。前のドアと中央のドアに挟まれたバス前方の席はどちらのドアからも近く、どちらのドアからも遠いのは中央よりも後方の座席になります。みんなが観光しているときに知らない人が入ってくるとして、ドアに近い席から物色されそうと思いませんか?
幸い前のほうに座りたがる人が多く、後ろ寄りの席はたいてい空いているので、最後列ではないあたりに座るようにしています。
※これはあくまでも私の防犯視点なので、安全の確約はできません。参考までにお願いします。
座ったらS字フックを取り出す
ツアーの日中、スーツケースはホテルの部屋かバスの荷物室にあり、基本的には触ることはできないので、その日に使う身の回り品を手荷物として用意してバスに乗ります。同行者と二人で並んで座るときは、隣席に手荷物を置けません。席に着いたら、S字フックを取り出し、前の座席の背もたれの持ち手のようなところに引っかけ、そこに手荷物をかけておきます。サービスエリアで買った飲み物やおやつを入れたバッグをかけておくのにも役立ちます。
ドイツにパッケージツアーで行ったとき、現地に住んでいる友人と一緒に現地発着の一日ツアー(オプショナルツアー)に参加しました。私が座った途端にS字フックを出して支度を整えるのを見て、ずいぶん驚かれ、感心されました。降りるときは手荷物のバッグから手袋やエコバッグなどそのとき必要なものだけをさっと選んで取り出し、ポシェットひとつで身軽に動きます。私の磨き上げられた(?)この手順を見て、「ツアーに慣れていると違うんだね」と言われたので、よほどシステマチックだったのかもしれません。自分では当たり前になっていたことが、誰もがやっていることではないのだとそのとき初めて知りました。
食べ物事情には要注意
車内での飲み物は、水を1本持っておけば十分です。到着した日は日本の空港や機内で確保した水が残っていることが多く、その後はホテルの近くにスーパーがあれば、6本まとめて買っておけます。バスに乗ったときに用意していなくても、途中に立ち寄るサービスエリアやお土産屋さんで買えるし、ペットボトルの水を一本一ユーロほどで分けてくれる運転手さんもいました。
食べ物については少し事情があります。私が撮った以前の写真を見ると、車内のテーブルにお菓子を乗せているシーンがあります。ところが近年は、車内では食べないようにという案内が増えています。会社によって違うのか、時期とともに変わったのかまではわかりません。そう案内されることがあるので、車内用には水だけを考えておき、案内があれば従います。
降りるときは残す荷物を平らにする
観光地やレストランに着いて降りるとき、バスから離れる時間やそのときの天候により、上着や傘や帽子などをピックアップし、残りの手荷物は座席に置きます。この荷物は、上から押さえてできるだけ平らにしてから降ります。または荷物棚にあげてもよいかもしれません。万一車内に誰かが入ってきたときに、目に入りにくいほうがよいと思うからです。
バスのロゴやナンバーを撮影しておく
観光地の駐車場には、同じような大型バスが何台も停まっていて、色も形も似ています。フロントガラスの内側に旅行会社名やツアー名を書いた紙が置いてあることもありますが、バスの車体は長いので、前までぐるりと回り込まないと見えません。
私は降りたときにバスの横のロゴや後ろのナンバーを写真に撮っておきます。戻ってきたときにどのバスか迷ったときにすぐに参照できます。


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