私が初めてヨーロッパへ行ったのは、大学生のときの卒業旅行でした。添乗員さんがいて、行く先々で現地ガイドさんが合流する、まさにパッケージツアー(パックツアー)そのものです。そのとき添乗員さんが教えてくれた注意事項を、私はその後もツアーに参加するたびに聞くことになりました。旅行会社や行き先が違っても、言われることはだいたい同じ。すべての添乗員さんの案内が100%かぶるとまではいきませんが、70%くらいは重なっています。基本的な注意事項を先どりしたい方はこの記事を参考にしてください。
エレベーターで気をつけること
ツアー中は、ホテルに着いたときも朝の集合のときも、参加者全員がほぼ同じ時間にエレベーターを使います。ヨーロッパ特有の建物の事情とあいまって、スムーズに昇降できないこともあるので、気をつけましょう。
建物の地上階は0階と覚える
ヨーロッパの建物は、日本の1階にあたる階が0階、日本の2階にあたる階が1階と数えます。知っているのに、何度ツアーに参加しても、エレベーターに乗るたびに一瞬考えます。部屋は何階だっけ、だから何階を押せばいいんだっけと頭の中で考え直すのです。
私だけが戸惑っているのではないとよくわかるのが、ホテルです。エレベーターを待っているときや、降りたところ、朝食の席などで、ほかの参加者の方たちが「間違えちゃった」「間違えるよね」と軽口まじりに言い合っているのをよく耳にします。
そして、ようやく慣れて階数ボタンをすっと押せるようになった頃に、帰国です。
小さくて台数も少ない
ヨーロッパの街中には古い形のままで残されている建物が多く、ツアーでもクラシックな趣のある素敵なホテルに泊まる機会があります。このようなホテルはたいてい規模が小さく、エレベーターが小さいうえに何台もあるわけではありません。スーツケースを持つと数人しか乗れず、朝の集合時間の直前に乗ろうとすると、混み合っていて何往復も待つことになります。
人数がとても多く、日程も押し気味のツアーに参加したときのことです。小さなエレベーターを何往復もさせないと全員が降りられず、朝の集合が遅れがちになりました。添乗員さんが少し苛立った様子で、「だから言いましたよね」というようなことを口にしていたのを覚えています。エレベーターの待ち時間は、実際に集合時間を左右します。
階段で行ける階なら、スーツケースを担いでえっちらおっちら階段で行ってしまうう男性の参加者も見かけます。そのほうが早いこともあるのでしょう。私の場合、母と一緒の旅では母の荷物も持つことになるので、できるだけエレベーターを使いたいところです。だから、降りるのも上がるのも早めに済ませるようにしています。それで解決することが多かったです。
なお、郊外の大型ホテルならエレベーターが一台とは限らず、エレベーターでの昇降が滞る可能性は低いです。
ホテルのバスルームの使い方
一人で使うバスルームでは、観光や食事のときのように、まわりの人がどうしているかを見て真似するわけにはいきません。下記のような基本的なことの多くは添乗員さんが説明してくれますが、わからないことがあれば遠慮せず聞いてください。
シャワーが出ないときは部屋を替えてもらえる
お手頃価格のパッケージツアーでは、高級ホテルにはあまり泊まりません。設備が古く、水の勢いが弱い、シャワーがうまく出ないといったことはたまにあります。
水の勢いが弱いくらいなら値段相応ですが、本当に出ないなら不具合なので、言えば部屋を替えてもらえます。私も、シャワーだったかどうかは忘れてしまいましたが、水回りの不具合に気づいて部屋を替えてもらったことがあります。
ホテルに着いたばかりで、添乗員さんはほかの参加者のお世話で忙しいだろうと思い、そのときは自分でホテルの人に伝えました。部屋まで来て見てもらい、ホテルの人が「替えましょう」と判断してくれて、部屋が替わりました。
部屋番号が変わると、何かあった場合に添乗員さんが部屋へ電話で連絡しようとしたときに困ります。部屋が替わったら、添乗員さんへの報告は欠かせません。私も当然のこととして事情を伝えたのですが、そのとき添乗員さんから「私に言ってくださってよかったのに」と言われました。
私は早く部屋で落ち着きたかったので先にホテルに伝えてしまいましたが、添乗員さんはこのようなときにサポートしてくれるための存在なので、遠慮なく助けてもらいましょう。
便器の隣にある小さな便器のようなもの
バスルームに、便器と並んでもうひとつ、小さな便器のようなものが置かれている部屋があります。ビデです。何のためのものかわからず戸惑う人が多いので、添乗員さんが説明してくれることもあります。
私はなんとなく抵抗があって一切近寄らないので、使ったことはありません。使わなくても、何も困りません。
垂れている紐や棒は引かない
バスルームやトイレに、紐や棒のようなものが下がっていることがあります。引くと非常呼び出しになります。
日本の感覚では、紐は引くものです。電気のスイッチだと思う人もいれば、水を流すためのものだと思う人もいて、つい無意識に手が伸びます。私が参加したツアーで実際に引いてしまったという騒ぎはありませんでしたが、紐を引っ張ってしまう人もいるようで、添乗員さんは必ず説明してくれます。
形は紐とは限らず、棒のようなものもあるので、天井や壁から何か垂れていたら触らないくらいに考えておくのが確実です。ホテルの部屋だけでなく、レストランなどのトイレで見かけることもあります。
バスタブのお湯をあふれさせない
バスタブにお湯をためっぱなしにして、あふれさせてしまう事故があります。日本人は湯船につかろうとするので、ほかの国の人よりこの事故が起きやすいのだろうと思います。
あふれるだけで済まず、下の部屋に漏れると補償の問題になることもあるそうです。添乗員さんからも、わりとしっかり注意されます。
ショッピングや教会でのマナー
観光の合間や自由時間に立ち寄るお店や教会で、知っておいた方がいいマナーやルールがあります。
お店に入るときは挨拶したほうがよい
デパートやスーパーなどの大型店ではない、小さなショップに入るときは、その国の言葉か英語でひとこと挨拶をしたほうがよいと添乗員さんに言われます。理由はいろいろあるようですが、気持ちよく接してもらえるマナーとして教えられることなので、私はいつも挨拶をします。
お店の商品に勝手に触らない
船に乗るところに土産物屋さんがありました。マグネットやキーホルダーが並んでいて、居合わせた日本人の女性が、いつもの調子で商品に触ろうとしました。すると店のおじさんが、触るなと怒鳴りつけたのです。
怒鳴り方がいかにも慣れていて、女性が触るのを待ち構えていたように怒鳴りました。同じことがいつも起きていて、そのたびに怒鳴っているのだろうと思うような言い方でした。日本の店なら、商品を手に取って見るのは珍しくない光景です。ヨーロッパでは、その普通をとても嫌がる店員さんやお店の人がいます。
私は、商品に触りたいときは、にっこり笑って商品のほうを指しながら「May I?」と聞くようにしています。そうしていて嫌がられたことは一度もありません。
私はあのお土産屋さんには、入店しようとも商品を見ようとも思いませんでした。怒鳴られるところを見て、なんて嫌なおじさんなんだろうと思ったからです。毎回同じことが起きているなら、日本語や中国語で貼り紙を一枚出しておく手もあるのにと思ってしまいました。
ただし、大型店やスーパーでは思い思いに商品を手に取るのが普通です。
教会では服装の案内がある
教会などでは、露出の多い服装を注意されることがあります。
私は実際に服装で止められた人を見たことはありません。注意が必要になるのは薄着になる春や夏なので、どのツアーでも案内があるわけではありません。参加者も中高年以上の方が多く、極端に肌を出している人はもともと少ないのです。それでも教会に行く前には、添乗員さんが一応ひとこと案内してくれます。「今の皆さんの格好なら大丈夫だと思いますが」と前置きが入ることもあります。
ほかにも、タクシーのドアは自分で開け閉めすること、トイレによってはチップが要ることなどを、行く先々で教えてもらえます。このような添乗員さんの案内はどのツアーでもほとんど同じです。毎回同じことを案内されるということは、みんなが同じようなところで迷ったり困ったりしているということでもあります。初めてのヨーロッパで戸惑うことがあっても、自分だけが分かっていないわけではありません。困ったことがあれば、恥ずかしがらずに添乗員さんに聞いてみてください。


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