このブログの以前の記事で、パッケージツアー(パックツアー)の自由時間(フリータイム)を楽しむための準備について書きました。「旅とは旅先での時間を買うこと」だと考えている私による、かなり細かく調べてから臨むというしつこさすら漂う話だったので、「下調べとかが面倒だからツアーにしたのに」「そこまでしないと自由時間を楽しめないの?」と思った人がいるかもしれません。実はそんなことはありません。今回は、自由時間が始まると実際にどんなふうになるのかや、自由時間のいろいろな過ごし方などを書きます。事前にしっかり準備をしていなくても、その場の流れで楽しめることもあるので、気を楽にしてお読みください。

完全に放り出されるわけではない
「では皆さん、これから自由時間で~す!」と言われると、そこから先は各自でどうぞという印象がありますが、実際にはそうでもありません。そう言われてただちに放牧モードに切り替わりダッシュで行き先に向かうのは、私のように虎視眈々と調べ上げているタイプの人くらいです。
添乗員さんのナチュラルな同行
自由時間が始まると、さっさと行動を始める人を除けば、2つの動きが発生します。まずは、添乗員さんのところになんとなく人が集まってきて輪ができます。ざっくりした希望やプランはあるけど添乗員さんに聞いてみたい人、自由時間のその後のことを聞きたい人など、さまざまです。もう1つの動きは、添乗員さんと他の人たちとの会話を小耳アンテナでキャッチしながら、遠巻きにするようにして、「どうする~?」と同行者どうしで相談する人たちです。
添乗員さんは質問に答えつつ、何組かの行きたいところがかぶっていたり食事をする店を探していたりすると判断したら、即席で声をかけてくれることもあります。たとえば、「もし△△に行きたい方がいらっしゃったら、一緒に行きましょう」「この近くに英語メニューがあって人気のお店があるそうです。行きたい方、☆時にロビーに集合してくれたらご一緒します」といった感じです。
もちろん自由時間なので強制ではなく、希望する人がいれば一緒に行きましょうというスタンスです。もっとわかりやすくいえば、「自由時間にたまたま同じところに向かうことになりました」というテイで、つかず離れずといった感じで目的地まで行ってくれます。そこに乗っかる人は一定数います。安心ですよね。私は自由行動のときのレストランは何軒か調べておくのですが、同行者(母や友達)のそのときの気分や希望にもよるので、「あの流れに乗ったほうが楽しそうだ」というときはそうします。
添乗員さんと食事したことも
何日か一緒に過ごすうちに自然と話すようになった方が数人いて、その中の誰からともなく、みんなで食べに行きませんかという話になったときは、その中の一人が添乗員さんに相談しました。すると添乗員さんがお店を見繕ってくれて、添乗員さんを含む7人で食事に行きました。前もって決めていたわけでも、私が調べておいたわけでもありません。その場の流れでそうなった夕食です。
添乗員さんと自由時間に一緒にごはんを食べるのは珍しいケースだったのですが、仲よくなった参加者の人となんとなく行動をともにするシーンはよく見かけることとしてご紹介しておきます。
買物天国な街ではショップにまっしぐら
どの街でもこのようになるわけではありません。買物が大充実している場所、たとえばミラノのドゥオモの前で短時間という条件で放牧されたら、やることは決まっています。ほとんどの人が目の前のアーケードやリナシェンテ(デパート)にまっしぐらです。
調べていなくても何とかなることも多い
添乗員さんは、その土地にとても詳しいわけではなかったとしても、事前に調べていたりホテルの人に聞いたりして、質問すれば何らかの案内をしてくれます。参加者のようすに応じて特定のスポットやお店に軽く引率してくれることも珍しくないので、事前に準備をしていなくても何とかなることも多いです。ただし、自由時間の添乗員さんの同行は「必ずしてくれる」というわけではないので、添乗員さんへの質問が集中した結果、参加者の人たちとなんとなくまとまって動くことにつながりやすいというふうに理解してください。
小さなエリアでは結局は参加者と一緒
たとえばパリやロンドンで1日の自由時間を与えられると、みんなの行き先が散り散りになります。街中ですれ違うことはごくまれにあるくらいです。でもそれほど規模が大きくない街での自由時間や短時間の場合は、ちょっと違います。
教えてもらったお店にみんなが突進
現地の観光ガイドさんが美術館やお城などを案内してくれた後、自由時間になったときに、参加者さんからの質問があれば、「このあたりでお食事ならあのお店に行かれる人が多いですよ。地元料理ならあそこ、パスタならあそこ」といった情報を教えてくれることもあります。
プラハでは、特に「ここで絶対に食べたい!」と自分で決めていたお店もなかったので、地元の人に評判がよくて英語メニューもあって観光客もよく行く店だと教えてもらったお店に行きました。結果、同じツアーの何組かがそのお店で食事をしました。こじんまりとしたツアーだったので、参加者の半分はそのお店にいたはずです。
それほど長くない自由時間だと動く範囲が限られます。それぞれが自由に動いたつもりでも、同じ情報を聞いたメンバーの行き先が重なるのはよくあることです。放牧されるとちょっと心細い、どこへ行けばいいか決められないという人にはありがたい状況です。
自由に動いても出会ってしまう
おもしろいのは、自分で好きなように過ごしたときにも同じことが起きるという点です。
スイーツ好きの私にとって、ウィーンといえば交響楽団ではなくザッハトルテです。ザッハトルテのツートップとされる有名店は2軒。そのうちの1軒であるホテルでザッハトルテを食べ、近くのスーパーマーケットで買い物をして、タクシーを待っていたら、私と同じような行動をしていたであろう参加者の方々と鉢合わせしました。なぜわかるかというと、何度か見かけていたからです。ツアーで毎日顔を合わせているので、「ご一緒しましょうか」となり、そのままタクシーに同乗してホテルへ戻りました。
ホテルからの出発時にも同じようなことがありました。ローマのホテルの前でタクシーに乗ろうとしていたら、ツアーの方も来られ、「どちらへ行かれますか」とどちらからともなく会話が生まれ、行き先が同じだったので同乗しました。オプショナルツアーに申し込んでなければ、ローマではほとんどの人がスペイン広場のあたりに向かうので、行き先が同じなのは自然なことです。
自由時間には、添乗員さんがいなくてもこのようなシーンが発生することが往々にしてあります。
自由時間の過ごし方いろいろ
お買物から食事以外にも自由時間の楽しみ方はたくさんあります。私自身の経験をはじめ、ツアーへの参加を通して知った皆さんの過ごし方をご紹介します。自由時間を自分好みに仕立てて、ツアーのコスパを最大限に引き上げてください!
なお、他の記事でも書いていますが、参加者の多くが向かうような街のメインスポットではない遠くの場所に行くときや、別の旅行会社が扱う一日プランを利用するときなどは、添乗員さんに一言伝えておくことをおすすめします。
食事が不安ならミールクーポン
自由時間に各自で食事をとらないといけないとき、「いいレストランを調べられる自信もないし、注文できるか心配」という人は、ミールクーポンの利用を検討してみてください。先払いで食事の手配をお願いしておく仕組みです。観光客の受け入れに慣れているレストランなので、街の一軒にふらりと入るより安心感があります。
パッケージツアーを催行する旅行会社が申し込み時に案内してくれることも多く、同じ会社の扱いなら添乗員さんの方も「小夏さん、お昼を申し込まれていますよね」と確認してくれたりもします。
私も一度利用した経験があります。イタリアの小さな町での自由時間がランチタイムにあたる旅程のときに、「とにかく食事で不安になりたくない。割高になってもかまわないから申し込んで」と母に言われたためです。パリやミラノのような都市でそのようなリクエストを母からされたことはありません。「小さな町でごはんどうするの?」という不安があったようです。たしかに、小さな町では食事ができるお店そのものが少ないし、たとえば定休日が多い曜日に行くと、選択肢がさらに狭まります。
そのミールクーポンはほかの参加者さんも購入していて、添乗員さんがお店に連れて行ってくれたと記憶しています。ミールクーポンに申し込むと、自分でお店を探す楽しみはありませんが、観光客を受け入れているレストランのトイレ環境がめちゃくちゃ悪いということはなく、トイレ休憩を確保するという意味でも安心です。断言はできないのですが、日本の旅行会社とつながりがあるお店なので、もしその町で食事をするツアーの場合は、そのレストランを使っているのかもしれないなと思いました。
ミールクーポンは、食事の時間を確実にしたい人、お店選びがおっくうだったり心配だったりする人には向いています。逆にその街で何を食べるかをそのときの気分で決めたい人には向いていません。
王道のお買物でも行先はさまざま
お買物は多くの参加者にとって自由時間のお目当てのひとつです。いわゆるブランドものを探す人は、ブランドブティックが集まっているような場所に行けば、特に下調べせずとも、ただ歩くだけでお目当てがたくさん。身の回り品には十分に気をつけて歩いてください。
スーパーに行きたい人は、どの自由時間に組み込むかを考えておきましょう。スーパーへ行く人は必ずいて、場所を聞いている人を毎回見かけます。ホテルの近くにスーパーがあるとは限らないし、早朝や深夜の移動だとスーパーがあっても開いていません。街中のスーパーにゆっくり立ち寄る主な機会は、自由時間になってしまうのです。
観光都市のスーパーは、超高級とまではいかなくてもお土産によさそうな見栄えがよい箱入りのお菓子が並んでいるので、配る相手が多いときには助かります。スーパーではたくさん買いすぎてしまいがちなのですが、荷物が増えることも忘れないでください。
私は他の記事でも書いたように、手芸店に立ち寄る習慣があるので、自由時間を利用して必ず訪れるようにしていました。ある参加者さんからは、趣味のダンス競技のお店に行くと教えてもらいました。このような趣味のお店は観光地のど真ん中というより、その少し周辺にあることが多く、アクセスや定休日を調べておくのをおすすめします。
変わったところでは、その国のスターバックスやマクドナルドに入る人もいます。日本でもその店が好きな人なら、国ごとのメニューの違いや店の雰囲気が見どころのようです。お店ではありませんが、私の友人には、行った先々のニベアやクナイプを、コレクションと旅の思い出を兼ねて買い集めている人もいます。世界展開しているショップやブランドを比べる楽しみを味わえるのは、何カ国も回るツアーだからこそです。
もちろん観光や美術館も
パッケージツアーの観光には組み込まれていないスポットや美術館を訪ねる人もいます。「ルーブルは旅程に入っているけどオルセーが入っていない」というツアーでは、自由行動の日にオルセーに行くという話はよく聞きます。私は食器が好きなので、ウィーンでの自由時間を利用してホーフブルク宮殿にある食器の展示を見に行きました。
効率のよさならオプショナルツアー
ちょっと遠くの観光スポットに行きたいけど自力で行くのは不安があるというときは、現地発着のオプショナルツアーを使うという方法もあります。パッケージツアーを催行する旅行会社が、自由行動の日のプランとしてオプショナルツアーを案内してくれている場合も多く、その会社の扱いとして申し込めば、ミールクーポンのときと同じように、添乗員さんが「申し込まれていますよね」とひと声かけてくれることが多い印象です。
もちろん、旅行会社が取り扱っていないツアーを探して申し込むことも可能です。
現地在住の友人と会う
ツアーで訪れる国に友人が住んでいるときは、自由時間を友人との再会に使ったことが何度かあります。特に観光案内をしてもらうというわけではなく、本当に久しぶりに会って、女子のおしゃべりを楽しむという感じです。時間がないときは友人が空港まで来てくれて、短い時間ですがお茶をしました。私は空港での滞在も自由時間の一部と捉えているので、このときは旅の時間を有効に使えたと悦に入ります。
ここまででご紹介してきたように、自由時間の過ごし方やスタンスは人それぞれ。私のように行きたいところがたくさんあって優先度をつけてふるい落とすタイプの人もいれば、「いろんなことをお任せしたくてパッケージツアーを利用しているのだから、自由時間の計画とか面倒くさい」という人もいます。
どちらでも大丈夫です。調べておいた場所へ行っても、添乗員さんやガイドさんの案内に乗る日があっても、ふらっと歩いて素敵なカフェでお茶をしても、それが自分の裁量で決めた時間の使い方です。安全と集合時間にだけは気をつけながら、気軽に楽しんでください。


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